
Vtuber「毎日歌枠配信をしてるんですが、大きな声を出した時に音割れしてしまいます。歌枠中に音割れしないOBSの設定を教えてください」
こんなお悩みを解決します。
- 配信中に音割れしないOBSの設定を紹介

- ほんみく管理人
- 歌ってみた制作株式会社PXstudio代表取締役
- 一般社団法人日本歌ってみたMIX師協会監事
- ミキシングエンジニア歴:10年以上
- 過去Mix件数:1700件以上
- 歌い手経験あり:3年程度
- Twitterでも発信(@pixl_05)

こんにちは。ニコ動、YouTubeでMixer(ミキサー)をしているP!xL(ピクセル)(@pixl_05)です。
歌枠配信をしていると、楽しく歌っている最中に「バリッ!」という耳障りな音が入ってしまったこと、ありませんか?
これはいわゆる「音割れ」と呼ばれる現象で、せっかく心を込めて歌っても、台無しになってしまいます。
音割れは、聞いているリスナーにとっても不快なため、配信のクオリティや印象に大きく影響します。
この記事では、OBSを使って配信しているVTuber・配信者さんに向けて、音割れを改善するための具体的な設定方法を、わかりやすく丁寧に解説していきます。
音割れってなんで起こるの?まずは音割れの原因を知ろう

そもそも音割れってなんで起こるんだろう?
そもそも「音割れ(クリッピング)」とは、マイクから入力された音が大きすぎて、インターフェイスなどの機材が正しく処理できなくなる状態のことを指します。結果として「バリッ」とした歪んだ音が出てしまいます。
主な原因はシンプルです。
- マイクやオーディオインターフェース側の「ゲイン」が高すぎる
- OBS内で音量スライダーが最大近くまで上がっている
「ゲイン」とは、マイクが拾った音をどれくらい大きくするかという設定で、これとOBS内の音量調整がうまくバランスを取れていないと、音割れしやすくなります。
オーディオインターフェースのゲイン場所の例

OBSのスライダー場所の例


入力段階での音の大きさと、OBSでの出力音量のバランスを取ることが大切です!
【この設定をしておけばOK!】音割れを防ぐためのフィルター設定(OBS版)

どうしたら音割れを防げるんだろう?
どうしたら音割れの対策ができるか気になりますよね。
実はOBSには音割れ対策に効果的なフィルター機能があり、突然の大声や高音による音割れを減らすことができるんです。
大切なのは、「音をただ下げる」のではなく「聴きやすく整える」という考え方です。しっかりとコントロールされた音量は、聴いていて安心感があり、歌声の魅力も一層引き立ちます。
OBSのフィルターの場所の例


OBSで使えるフィルターの中で特に効果的な2つを中心に、設定方法とコツをご紹介していきます!
【と、その前に】マイク入力レベルを適正にしよう
フィルター設定の前にまず最初に確認すべきなのが、マイクの入力レベルです。OBSの音声ミキサーを見ると、話したり歌ったりするたびにゲージが上下しているのが分かると思います。
ゲージが常に「イエローゾーン」(-20dB~-6dBあたり)に来るのが理想的です。
一番大きな声を出したときに赤い部分(0dB以上)まで振り切れてしまうと、音割れが発生する可能性が高くなります。
マイクゲージの適正例


歌う前に何度か声を出して、音量ゲージを見ながら調整しましょう!
フィルター①:「コンプレッサー」で音量を滑らかにする
コンプレッサーは、一定以上の大きさの音を抑えることで、音量のバラつきを抑えてくれる便利な機能です。
例えば、ささやき声から力強いサビに移るときなど、音量差が大きすぎるとリスナーは驚いてしまうこともあります。コンプレッサーを入れておけば、大きすぎる音だけを自然に抑えてくれるので、全体として聴きやすい音になります。
- しきい値(Threshold)を「どのくらいの音量から抑えるか」
- 比率(Ratio)を「どのくらい抑えるか」
- アタック(Attack)とリリース(Release)を「どれくらいの速さで効果を適用するか」
初心者の方は、まず以下のような設定から試してみましょう
- しきい値:-18dB
- 比率:4:1
- アタック:6ms
- リリース:60ms
コンプレッサーのおすすめ設定


これだけでもだいぶ音量が整い、音割れの危険性も減ってきます!
フィルター②:「リミッター」で最終防衛ラインを設定する
リミッターは「これ以上の音は絶対に出させない」という非常時の緊急ブレーキのような機能です。
設定値を超えると音を強制的に抑えるため、突然の大声でも音割れを防ぐことができます。
一般的には-1dB~-3dBの範囲に設定するのが良いとされています。
リミッターのおすすめ設定


コンプレッサーとリミッター、両方を併用することで安定した音質を実現できます。
(補足)フィルターの順番も重要!
複数のフィルターを使う際は適切な順番で設定することが大切です。
まず、無駄なノイズを先に取り除きます。
音量をなだらかに整えます。
最後に安全装置をかけます。
ノイズ抑制についてはこちらの記事で解説しているので、ぜひ確認してみてください!

この順番で設定することで、きれいな音質に仕上げることができます!
OBS設定以外の「見落としがちなポイント」

OBSの設定以外で気を付けることって何かあるかな?
音割れを防ぐためには、OBSのフィルター設定だけでなく、マイクの使い方やオーディオインターフェースの調整といった物理的なポイントにも気を配る必要があります。
ここでは、意外と見落としがちな2つのポイントをご紹介します。
マイクとの「距離」は適切?
基本的には拳一個~二個分の距離をとる
配信中にマイクとの距離が近すぎると、声の低音が強調される「近接効果」が発生し、こもったような音になってしまうことがあります。逆に遠すぎると音が薄くなってしまい、細かいニュアンスが伝わらなくなることも。
基本的には、口とマイクの距離は「拳一個〜二個分」を目安にするのがちょうどよいバランスです。

これはおよそ5〜10cmほどの距離で、音がしっかり届きつつも、急な大声にも対応できる安全な位置とされています!
近接効果に気を付けて
近接効果とは、マイクに非常に近い位置で話したり歌ったりすると、声の低音成分が過度に強調されてしまう現象のことです。特にダイナミックマイクや単一指向性(カーディオイド)のマイクでは特に、声がこもって聞こえたり、音全体が不自然に重くなる原因になります。
- 「拳一個〜二個分」の距離を基準にする
- 必要に応じてマイクの角度を少し傾ける
- 真正面ではなくやや口元の横から拾うようにする

声質や配信ジャンルによって近接効果が「味」になる場合もありますが、基本的にはクリアで自然な音を意識するのがベストです!
オーディオインターフェース側の「ゲイン」は大丈夫?
マイクからの信号を増幅する「ゲイン」の設定が高すぎるとその時点で音が歪んでしまうため、OBSでどれだけ工夫しても綺麗な音にはなりません。
ゲインはオーディオインターフェース(たとえばYAMAHA AG03など)側で調整できることが多く、適正に設定することで配信の音質が一気に改善されます。

自分が実際に歌う音量でマイクに向かって声を出し、ピークランプ(クリップインジケーター)が赤く点灯しない範囲でゲインを下げるのがポイントです。

音の入口であるゲインを適切にすることで、後工程のOBS側でもスムーズに音作りができるようになります!
設定したら必ずチェック!「テスト配信/録画」で確認しよう

設定ができたみたい!あとは最終チェックするだけだね!
OBSの設定を変更したら、必ず実際にテストして音の状態を確認しましょう。
本番の配信での音割れを防ぐためにも、実際に一番大きな声を出す予定の歌で録画する・限定公開などでテスト配信を行うなどして、自分で聴き返してみましょう。
- 大きな声を出したときに音が割れていないか?
- 声が不自然に潰れたり圧縮されすぎていないか?
- 聞きやすく、違和感のない音質になっているか?
実際のリスナー目線で音をチェックすることで、細かな違和感にも気づきやすくなります。

最終的には自分の耳が一番の判断基準です!設定変更後は必ず確認を行いましょう!
まとめ:OBS設定を見直して、自信を持って最高の歌声を届けよう!

音割れを防ぐための重要なポイントは4つです。
この4つを見直すことで音割れを防ぎ、クリアな音質で配信を届けることができるようになります。
適切な距離を保つことで、近接効果によるこもりを避けつつ自然でクリアな音を届けます。
機材やOBS内での音量設定を適切に行い、通常の会話音量(普通の喋り声)で音割れが発生しないようにします。
大きすぎる音を自動で抑え、音量の凹凸をなめらかに整えます。
急に声を張り上げても音割れせず、リスナーに聴きやすいバランスを保ちます。
音の最終的な上限を設定し、どれだけ大きな声を出してもそれ以上に音が出ないようにします。
突発的な音割れを完全に防ぎます。

最も重要なのは「試行錯誤する姿勢」です!
配信環境や声質、使っているマイクによって最適な設定は異なります。
何度も録音・調整を繰り返して、自分だけのベストセッティングを見つけ出していきましょう!
以上参考になれば嬉しいです!
音質は、あなたの配信を大きく左右する重要なポイントです。
今後の配信活動にぜひ活かしてみてください。
そんな感じっ
おわり!